母は強し
2007 / 01 / 21 ( Sun ) 出入り業者に頼まれて最近1冊の本を読んだ。
越後屋の長男の幼稚園の同級生の母親が書いた本だという。当初、管理人はこの話にあまり乗り気ではなかった。シングルマザー、癌の再発、治療と聞いただけで、かわいそう、同情、悲劇なんていうネガティブなキーワードがぽんぽん頭に浮かんできたからだ。 「まあ、そう言わんで、騙されたと思って読んでみろ」 「そういうお涙頂戴系って得意じゃないからねぇ〜」 「読んでみて、いやだったら宣伝してくれなくていいからさ。良かったら何か書いてくれればいい。けっこうイメージぶちこわすような本なのよ。横内さんって男みたいにさばさばした人でさ」 毎度のことながら、越後屋の話は半分だけあっていた。 たしかに、本は想像したのとはまったくちがう内容で、お涙頂戴どころか、読んでいて逆に元気をもらうような内容だった。だが、この作者である横内さんという女性が男みたいというのは大まちがいだ。 彼女がもし男なら、いまごろとっくに病気に負けてしまっている。少なくとも越後屋のような根性なしの男には、ここまで気合いの入った生き方などとてもできないと管理人は思ったのだ。 やっぱり女は強い。そして母になるとその強さが5千倍くらい増幅する。母ちゃん、すごいぜ、と思わず言いたくなる本だった。 横内さんは、歌手として全盛期の30代に最初の癌告知を受けている。乳ガンの摘出手術を受け、そのときはいったん全快したものの、数年後、癌が転移していることがわかった。そのとき、彼女のお腹には永遠くんが宿っていた。そこから、親子二人三脚の癌治療と子育ての毎日がスタートする。 正直たいへんな状況なのだが、不謹慎とは思いつつも途中で声をあげて笑ってしまった。世間で言うところのドクハラを受け、「この男にはわたしの胸は切らせない」とブチ切れ、ようやくアポがとれた有名医相手に喧嘩をし、ともかく自分が納得できる治療方法を探しまわるのだ。彼女は癌の治療と子育てを続けながら、病院に24時間の保育ルームをという運動を始める。闘病生活で知り合った仲間やかねてからの友人たちのバックアップもあって、やがてCDを発売することになり、いまはこの運動に支援を呼びかけるための公式サイトもできている。 この国で、出産率の低下が問題になって久しい。政府はあれこれ対策を立てているようだが、いっこうに大きな改善は見られないという。それもそのはずだ。子どもの将来に不安があるのがわかっていて、喜んで子どもを産む馬鹿はいない。 この本を読んでいて、福祉とは何だろうとつくづく思った。自分が病気になったとき、安心して家族とともに過ごしたいというのは誰だって思うことだろう。ましてや小さな子どもがいれば、自分のことより先にその子のことが気になるはずだ。たしかに、子どもを預かってくれる保護施設はある。だが、入所手続きが煩雑だったり、きょう言ってきょう預かってもらうわけにはいかなかったり、病院との距離が離れていたり、さまざまな問題点があるようだ。 結果的に、検査や入院が遅れて病状が悪化するケースもままあるそうだ。ましてや片親だったとしたら、経済的にも精神的にも負担は大きい。 国の出生率が低下したと騒ぐのなら、安心して産める環境をまず整えなくてはならない。福祉の基本は人として最低限の生活ができるよう、万が一の時は周りがきちんと救いの手をさしのべられるシステムができていることだろう。 小さな子どもがいる親にとって、子どもと一緒に過ごしたいというのはとうぜん誰もが望むことだし、基本的な権利だと管理人は思う。それが実現できるよう、病身で声をあげなくてはならない人がいることじたい、何か変だと思うのだ。 まったく、高い税金をとるなら、こういうところに使って欲しいもんだよ。政治家が飲み食いしたり、誰も来ない○○会館作ったり、めったに人が通らないところに豪華な道路を造るんじゃなくてさ。 けっきょく、日本ってほんとうに弱い人、助けを必要としている人間にとことん冷たい国なわけだ。そういうあてにならない国を好きになれって言われても誰も愛国心なんて持たないだろうね、きっと(-。-) ぼそっ ともかく、そんな横内さんの話が今回ドラマになった。関東では、来週の金曜日(26日)にフジテレビ系で21:00〜の2時間ドラマ(金曜プレステージ)として放送される。 まっ、ドラマなんでね。もしかすると管理人の嫌いなお涙頂戴風に仕上がってるかもしれないが。あの嘘つき管理人、と思ったら、まあ本のほうを読んでみてよ。かわいそうとかお気の毒とか思う前に、すいませんアタシ無駄に生きてました、ってひれ伏して謝りたくなるような本だから。 ちなみに、横内さんちのブログもお薦め。たまに更新が長く滞ると具合が悪いのか!?と心配になっちゃうのだが、辛い治療を受けながらも毎日生き生きと頑張っている彼女の日常がのぞけます。 おっと、最後に犬ブログらしくこの話も付け足しておかねば…… 横内さん、じつは犬も飼っているのだ。現在は入院中の身ゆえに有料のケンネルに預けているのだが、愛犬キャンディーを飼いはじめた直後に彼女は最初の癌宣告を受けている。とうぜんのことながら、世話がたいへんだから処分しろと周りから言われたにもかかわらず、彼女はキャンディーは家族だから、とずっと一緒に暮らしてきた。 どんなに健康な人間でも、たとえ若い人だって、ある時とつぜん病気になることは誰にだって起こりえる。そんなとき、自分が守っていかなければならない家族をどうしたらいいのか。これを機会にちょっとでも考えてもらえるといいな、と管理人は思っている。 |
管理人のお薦め本
2006 / 10 / 21 ( Sat ) 1ヶ月ほど前、管理人はある一冊の本に出会った。
今年の初めくらいに、New York Timesのベストセラーリストのトップを何週も続けている犬関連の本があるということで、ちょっと話題になった本を、春先に購入し、忙しさのあまりずっと読まずに放っておいたものだった。 何しろ、タイトルが良かった。 「Marley & Me: Life and Love with the World’s Worst Dog」 世界一の問題犬と言い切っちゃうところが気に入った。表紙もラブのパピーの写真で、ものすごく可愛かった。 でも、内容はたいして期待していなかったのだ。いままでNew York Timesのベストセラーリストの言葉に騙されて購入し、途中で投げだした本はいくらだってあるし、売れているからおもしろいというわけではないのはじゅうぶん承知していた。とくに犬関係の本は、「ほんとにこいつ、犬飼ってんのかよ!?」と言いたくなるものも多くてね。そうじゃなきゃ、単なる自慢話だったりして、ああ、そうですか、それはよろしゅうございましたね、と白けた気分で本を閉じることも少なくないのだ。 そんなこんなで買ったはいいが、そのうち読む本の山の中に積み上げられていたのだが、仕事が空いた暇つぶしに、ちょっと読んでみるかね、とある日ふとなんの気なしに手にとってみた。 ……すいません、参りましたm(_ _)m こんなおもしろい本、初めてです。感動しちゃいました(T_T) もし管理人に潤沢な資金があるなら、自費出版したいとまで思ったのだ。ボランティアでもいいから、日本中の犬飼いさんと犬飼い予備軍に、この本を読ませたい! なんて思っていたら、何のことない、驚くほど早く翻訳版が発売された。 <<あらすじ>> ジョンとジェニーの新婚カップルは、将来子どもがたくさんいる家庭を作ることを夢見ていた。ところが、ジェニーときたら、夫が買ってきた植木をことごとく枯らしてしまう。このままで子どもができたら、ほんとうにちゃんと育てられるのだろうか? 試しにまず犬を飼ってみようか? そんな単純な理由で、ふたりは新聞広告に出ていたブリーダーの家に犬を選びにでかけて行く。 そこにいたのは生まれて間もないラブのパピーで、どのコにするか迷っていたところ、なかに1頭、特別やんちゃで元気のいい♂犬がいた。♀犬は400ドル、♂犬は375ドルだけど、そのコなら350ドルでいいわ、とブリーダー。 ジェニーは「お買い得」という言葉にめっぽう弱い女性だったので、ふたりは迷わずその元気でやんちゃなお買い得犬に飛びついた。それがマーリーと夫婦の出会い。そして、25ドルのディスカウントの理由がわかるのにそれほど時間はかからなかった…… ========================= マーリーは決して世界一優秀な犬ではなかった。それどころか、飼い主が太鼓判を押す問題犬だった。とにかく元気で、力が強く、悪戯はするは、盗み食いはするは、せっかく行ったトレーニングスクールも、たった2日で退学させられ、ふつうのラブの基準に照らし合わせても、じゅうぶんものすごい犬なのだ。 ジョンとジェニーの奮闘ぶりはまさに抱腹絶倒のおかしさだ。マーリーのやることなすこと、まさに「この馬鹿犬!」と言いたくなるほどのみごとさなのだ。それを、新聞のコラムニストでもあるジョン・グローガンが軽妙な筆で綴っていく。 だが、どんなにマーリーが問題犬であっても、ふたりは彼を溺愛する。むろん、途中で挫折しかけることもあるのだが、最後には、あぁ〜ぁ、またやっちゃったよ、まったくこいつときたら、と笑いながら、マーリーはマーリーなのだから、とすべてを受けいれていくのだ。 これは、ちょっととぼけたふつうのアメリカ人、グローガン一家と天下のダメ犬の一生の物語だ。正しい犬の飼い方や、コマンドの入れ方、しつけの仕方のノウハウ本は数限りなくあるが、そんなものよりこれを一冊読む方が、犬を飼うというのはどういうことがほんとうの姿が判る気がする。 すでに犬を飼っている人は、ぜったいに大喜びすること請け合いだし、犬を飼ったことのない人、犬を飼いたいと思っている人にもぜひ読んで欲しいと思う。ついでにいえば、犬の問題行動に悩んでいて、明日にも犬を手放しそうになっている人には、ぜひとも読んで欲しいのだ。 この世のなかに、飼いきれない犬など存在しない。 飼いきれない犬は存在しないが、犬を飼いきれない飼い主は存在する。 この本は、多くの人にそれを教えてくれる。 |


