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ペットが欲しい!

と、うちのペットが思っているかどうかは知らないが、一時期、カイが散歩の途中で必ず立ちよる場所があった。


RIMG0777.JPG

いつもこんな感じで伸び上がって他人のお宅を覗いてみる


おそらく、親を亡くしたヒナ鳥を保護したのだと思うのだが、このお宅の玄関先には大きなケージがおいてあり、そのなかに小さな鴨が2羽飼育されていたのである。

最初、ピヨピヨという鳴き声に気がついて、覗いてみたらヒナ鳥がいた。一度見ただけでカイは虜になったようで、それから毎日朝夕散歩のたびに鴨さんチェックが欠かせなくなったのだ。

ちなみに、姫もそこに鴨がいることはむろん知っているのだが、一度覗き込んでそれが生きた子鴨だと判ったとたん、まったく興味を削がれたようでその後は無視して通り過ぎるようになった。ケージに入っているのが鴨肉のソテーや鴨南蛮や鴨ステーキならば、おそらく、奴は毎日そこを覗き込んでは涎をたらして大声で歌い続けるはずなのだが、何しろ犬のくせに生肉も食べられない柔な現代犬の姫ちゃんである。ピヨピヨいっている小ガモは餌にはなりえない。ゆえに食べられないものに興味はないという姫なりのじつにシンプルな三段論法が成立するのである。

それに対して、カイの場合は純粋に小ガモの成長ぶりにすっかり魅せられていたようだ。放っておくと何時間でもケージを覗き込んで観察を続けかねない勢いなのだ。

「可愛いです、鴨さん。ボクもああいうペット飼いたいです」

自分自身がすでにペットであるという事実はすっかり忘れ去られているようだ。だが、考えてみれば、犬猫屋敷ではチビ姐さんも自分は犬を飼っていると思いこんでいるようなので、ペットがペットを飼ってもべつにかまわないのかもしれない。

「管理人さん、ボクもペットが欲しいです。ぜったい、ちゃんと世話しますから、小ガモさん飼っちゃダメですか?」

んなこと言ったって、けっきょくは管理人が世話することになるのだから、そう簡単に管理人がうんと言うわけないだろうが……

ところがある日、いつものように小ガモのケージを覗いてみたら、そこには誰もいなかった。

「鴨さん……いなくなっちゃった(涙)」

前の日に見たとき、すでに成鳥と変わらない大きさにまでなっていたので、おそらく自然に返したのだろう。だが、カイにはそんなことは判らない。いきなりいなくなってしまった疑似ペットの鴨にすっかり肩を落とす我が愛犬なのだ。

大丈夫だよ、カイ、たぶん鴨さんたちは仲間のところに帰ったんだよ。たぶんね。たぶん……
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テーマ : わんことの生活
ジャンル : ペット

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スーパードッグにはほど遠い、おとぼけワンコたちと暮らすフツーの飼い主


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