犬猫という物の立場
2008 / 03 / 26 ( Wed ) この国の法律では、犬猫はタンスと同じ扱いである。
法律上は、飼い主の所有物なのね。だからたとえ犬猫を誘拐して身代金を要求しても、犯人は誘拐罪には問われない。単なる窃盗罪にしかならないのだ。他人の犬猫を殺しても、器物破損罪が適用されるだけで殺人罪にはならないわけだ。だってね、犬猫は人じゃないから。人間以外のすべての物は、物という一つのくくりでしかないからだ。 ところが、犬や猫やウサギやらフェレットというのは単なるタンスとは微妙にちがう。タンスを引きずって毎日近所を歩きまわる人はあまり見ないが、犬飼いは常時犬を引き連れて近所を徘徊している。ケータイ電話はどこに連れて行ってもうんPやシッコはしないものだが、犬などのペットはさ、もよおせば、ところかまわず排泄する。ストレスがたまると、大声で吠えるソファというのは聞いたことがないし、外出から帰ってきたら、冷蔵庫が暴れて部屋が荒らされていたなんてこともふつうはないが、ハッピーでない犬や猫は、自分の置かれた不遇な状況をあらゆる形で表現する。 つまり法律上「物」というくくりに入っているペットというのは、彼らと暮らしている我々にしてみれば、現実的にはぜんぜん物ではないわけだ。 それでは飼ってない人間にとってはどうだろうか? すごく珍しい、飛びきり可愛いうちの犬たちのような愛らしいワンコ(←飼い主バカですが、それが何か?)を連れて散歩していると、いきなり可愛いぃ〜と言って抱きついてくる 管理人の知り合いで、純血種の非常に絵になる犬を飼っている人がいる。で、話によると、度々街中で写真を無断で撮られているらしいのだ。いきなり無言で近づいてきて、カシャカシャ犬の写真を撮った挙げ句、また無言で離れていくという。あまりにも目に余るときは、さすがに注意をするらしいが、そういう状況は日常茶飯事でもう最近は慣れっこになってしまっているのだそうだ。 これもさ、はっきり言うと不気味なのだ。どんなに珍しい可愛い服を着ている人を見かけても、ふつうの人はいきなりレンズを向けたりしないよね。まず「写真撮らせてもらっても良いですか?」って訊くのが礼儀だろう。ところが、ペットに関しては飼い主の許可を得ずに写真を撮っても別に失礼には当たらないと多くの人が思っている。ただ一言許可を得れば良いだけなのだ。「可愛いですね、写真撮らせてもらって良いですか?」と訊いてくれれば、ダメだという飼い主はまずいない。管理人なんて、可愛く撮れてたら送ってくださいと言いたくなる。 百歩譲って、犬を正しく理解する子どもを増やすために、いきなり触られても写真を撮られてもまあ我慢はしてやろう。だがね、勝手に近づいてきて、他人の「物」をいじくり回した挙げ句、「さあ手を洗わなきゃ」はないだろう。「可愛いケータイですね、見せて」と言われて電話を手渡したら、さんざんいじった挙げ句にそれを返した直後に「さあ手を洗わなきゃ」と言われたら不機嫌にならない人はいないだろう。犬に興味津々でじっと見つめている子どもに「危ないから近づいちゃダメ!」と叫ぶ親にも辟易する。うちの犬はアンタんちとちがって、ちゃんとリードつけてるからさ。それにNoと言えば止めるようちゃんと躾もしてあるんでね。別に危険なことはないんだがね。 他人を尊重するということはいわば大人社会の礼儀である。尊重すべき他人が持っている物もまた、他人の一部として扱われる。たとえば、どんな妙なかっこをして歩いている人がいたとしても、それを指さして笑うのはやっぱり礼儀に反するし、ふつう、まともな人ならそんなことはしない。だがね、それが犬ならばやっても良いと人は思うのだ。なぜなら犬はね、横を歩いているからね。飼い主が身につけているものとはちがうから。だから、それを指さして「ちょっと見て、すごく脚の短い太った犬!」とか言っちゃっても許されると思うわけだ。 だがね、法律上ペットは飼い主の所有物なのだよ。管理人が身につけている服やバッグやアクセサリーと同じように管理人の一部なのだ。それを勝手に触ったり、写真撮ったり、汚いとか危ないとか言うのはやっぱり失礼でしょう? それがバッグや服ならそういう行いが失礼なことなんだって、誰にだってわかるでしょう? 犬や猫は法律上はタンスと同じ扱いだ。だが動く物はやっぱりただの物とはわけがちがう。所有者である飼い主にとっても、飼っていない人にとっても…… |
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