反面教師
2008 / 02 / 25 ( Mon ) 管理人は決して優秀な、理想的な犬飼いではない。
我が家の犬たちは、いまだ問題行動のオンパレードだし、過去に飼っていた犬のリストを見ても、「愛犬お悩み相談室」の相談事ベストテンに並んでいるような行動を、ことごとくやらせてしまったダメ飼い主だ。 にもかかわず、なぜブログにわざわざ「しつけ」なるカテゴリーを作って、鎮静剤を打たれた亀より鈍い歩みのトレーニングの成果を公表しているかというと、ダメ飼い主の地道な成長記録なんてものも、もしかするといまのペットブームのなかでは、少しは需要があるんじゃないなかと、こんなふうに思っているからだ。 「犬のしつけ」をタイトルに掲げている本やサイトを見れば、ふつう、そこには正しいしつけの方法が書いてある。犬猫屋敷の管理人日記を読んでも、ダメ飼い主の悪戦苦闘ぶりを見て笑えるだけで、正しいしつけの方法は書いてない。むろん、姫やカイとそっくりの行動パターンの犬を飼っている、管理人と同じくらいずぼらな飼い主さんがこの世にいたとしたら、たぶんこのブログはバイブルになるだろうが、単純に考えてそんなことはありえないのだ。あなたの犬はこの世でたった1頭しかいない動物だし、あなたという人間も、この世に一人しかいない人間だ。正しいしつけのやり方というのは、その組み合わせにとってベストな方法を探ることなのだ。一般論として、こうすれば良いというのはたしかにあるが、それはあくまでも一般論であって、すべての飼い主と犬のペアに100%あてはまるものではない。 いまの世の中は、本当に便利な時代だ。何にでもマニュアルがあって、それどおりにやれば、すべてが巧くいくと現代人は信じこんでいる。マニュアルどおりにやったのに、巧く扱えないものは、もともと不良品だったのだと思いこんでしまう人が多いのだ。不良品のレッテルを貼られたものは、使われずにそのまま家に置いておくか、邪魔だからと捨てられてしまう。 その結果が、年間16万頭の処分犬だ。これは由々しき事態だと管理人は思うのだ。 たとえば、この国には1歳までにしつけをしないと犬は何も覚えないと信じている人がまだ多くいる。たしかに、最初の1年間で悪い行いをとことん教えられた犬を良い方向に導くには、かなりの時間がかかるケースもあるが、基本的に犬という動物はいくつになっても新しいことを覚えるのだ。10歳の犬に、新しいコマンドを教えることはちゃんとできる。ましてや、2歳3歳の犬なんて学習意欲の塊のようなものだ。ところが、犬が半年を過ぎて、いわゆる成犬の形になってしまった時点で、飼い主のほうが諦めてしまう。理由は子犬じゃないから。これ自体が変だ、と管理人は思うのだ。 躾なおし、という考え方がいい加減、一般的になっても良いと管理人は思うのだ。一度失敗してしまった犬のしつけを、もう一度、一からやりなおす。その考え方が定着しない限り、しつけに失敗したからと放棄される犬はあとを絶たないし、成犬譲渡も進まない。 パピーのしつけ方がわかるノウハウ本やしつけのサイトはいくらだってある。成犬の躾なおしも、まあやること自体は同じなのだが、そこに「半年までに○○をやっておきましょう」なんて書いてあった日にゃ、8ヶ月の問題犬を飼っている人はとたんに暗い気持ちになる。 「あぁ〜うちのコはもう6ヶ月のタイムリミットが過ぎちゃったし、もうだめだわ(涙)」 本当は、そんなことはないんだがね。6ヶ月までに教えるべきことを7歳になって教えることだってできるのだ。ただ、6ヶ月のときは10日で済んだことに、半年かかるかもしれないってだけで。 いま流行の陽性強化は「失敗させないこと」が重要だ。成功する経験を積ませることで、良い行いを定着させるというのがキーだからだ。だから、躾本やサイトを見ると、しつこいくらいに「失敗させるな」と書いてある。ところが、失敗したときのリカバリー方法が書いてあるものはほとんどないのだ。問題は、こういう本やサイトに、藁にでもすがりたい気分で飛びつくのは、じつは「すでに失敗してしまった」人々だという点だ。自分が「失敗したこと」をわかっていて、なんとかリカバリーしようとマニュアルを見てみたら、「失敗させるな」と書いてあったら、お先真っ暗な気分になるだろう。 管理人は、一度や二度、失敗しても良いと思うのだ。ただ、同じ失敗を「繰りかえさない」ことが重要なのだ。失敗を繰りかえしてしまうと、その結果、良くない行動が定着してしまう。定着してしまった行動を止めさせるのは面倒だ。だから、良くない結果を導くような失敗はできるだけ避けたほうが良いというそれだけだ。 犬猫屋敷の管理人は、何度も失敗を繰りかえす。しょっちゅう「やられた!」と叫んでいる。だが、何度失敗しても数日後にはあっさり立ち直って、また新しいことを試してみる。下手な鉄砲も数打ちゃ当たるで、1年経って正解を見つけられることもあるし、ときにはまぐれ当たりで3発目で成功して有頂天になっていることもある。それは、ごくごくふつうの犬飼いの、ごくごくふつうの日常風景だ。じつはたくさんの犬飼いが同じようなことを無意識にやっているのだ。だが、わざわざ自分の恥を公衆の面前にさらして笑いものになりたいと思う人はいないというだけだ。 犬猫屋敷の管理人は、決して何があってもめげない。巧くいかないことが続いて壁にぶちあたったときには、気分直しに他の路線に切り換えることはあっても、完全に諦めることはしない。成功すると、嬉しくなってもっとがんばろうと思うのは犬だけではないのだ。いつまで経っても巧くいかないことを延々続けているうちに、飼い主のほうもだんだんとやる気が失せてくる。だったら、一度は止めてみれば良いのだ。巧くいかないことは止めにして、成功が約束されていることを先にやってみる。それでまたやる気が起こったら、その時に改めてはじめてみればいい。 犬と暮らすのは楽しい。犬の一生をかけてずっと楽しめる趣味なのだ。それは、犬という動物が死ぬまで新しいことを学んでいく能力がある生き物だからだ。犬が新しいことを覚え、きのうまでは頭が痛かった問題行動をしなくなり、そんな彼らの進歩に一喜一憂するのが犬飼いというものだ。そういうごくふつうの犬飼いの日常風景を、のぞき見て、ときに笑いころげ、ときに自分の身に置き換えて反省し、ときにヒントを持って帰ってもらえるのなら、管理人としては本望だ。 |
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