歪んだペットブーム
2007 / 12 / 07 ( Fri ) あいかわらず怒りがおさまらないので、きょうもぶつくさ言うことにする。
だってやっぱり腹が立つのだ。どうしようもない飼い主のせいで、人を咬むことを教えられ、そのせいで人殺しになってしまった哀れな子犬(加害者の犬はまだ1歳4ヶ月の子犬なのだ)と、犬に襲われて恐怖のなかで亡くなったおばあさんと、どちらにとってもこんな不条理な話はないと思う。一番の加害者であるはずの飼い主は、せいぜい、罪に問われたとしても業務上過失致死だ。おそらく実刑にもならないで、執行猶予がついて終わりだろう。 じつにまったく理不尽な話だと思う。とは言っても、管理人にはどうすることもできないので、こうしてブログで毒を吐いて怒りを収めるしかないのだ。 で、きのうの話のつづきだが、管理人は、ほんとうに日本の犬飼いは犬が人を咬むということについて考えが甘いと思うのだ。というより、管理人のような古いタイプのハードな犬飼いにいわせると、最近のペットブームに乗った「ワンコちゃん大好きぃ〜癒されるわぁ〜」系の飼い主というのは、犬を飼うということがどういうことか、本質を勘違いしていると管理人は思う。 犬を飼うということは、鋭い牙を持った動物を、きちんと管理して人を傷つけたりしないよう、世間にご迷惑をかけぬよう、社会の一員として育てていくことなのだ。それができないとしたら、それは犬を飼っていることにはならない。たしかに、アクセサリーや家具のように犬を持っているかもしれないが、持っていると飼っているは意味がちがう。 たとえば、ペットブームのおかげで、いまや犬グッズのマーケットは花盛りだ。人間顔負けのサプリメントや犬用ケーキや、人間用より高価な犬用の家具やベッド、お犬さまの仏壇から墓地まで用意されている。初心者犬飼いの多くは、みんながやっているから、うちもうちもとこういうグッズに群がっていく。だが、ちょっと待て、と管理人としては言いたいのだ。そんなものに金を使うより先に、まずは腕のいいドッグトレーナーを雇いなさいよ。トレーニングスクールに行きなさいよ。どうやったら犬と仲良く暮らせるか、そのノウハウを書いた本を読みあさりなさいよ。まずやるべきことは、そっちなのだ。犬をきちんと育て、立派な社会の一員に育てあげたあと、余裕があるなら服を着せるなりマニキュアをさせるなり好きなことをすればいい。 犬を飼うために最低限必要なものと、そうでないもの、その区分けがわかっていない飼い主がいまは多すぎる。 ほんとうに極端な話をすると、犬の餌なんて残飯だってじつは別にかまわない。たしかに、塩分の高い人間の食べ物を食べさせると、ある年齢で腎臓やら肝臓に障害が出るし、その分寿命は短くなるが、それでもふつうの中型犬ならば、5〜7年は生きるだろう。トリミングなんかしなくても、ふつうの犬は、汚れたら天気のいい日に水をぶっかけてそのあとタオルで拭いてやれば最低限の汚れは落ちる。爪切りなんてしなくても、毎日一定時間散歩をしていれば、爪は自然と削れていく。腹をこわしたら、ビオフェルミンを飲ませて、1日食餌を抜けば健康なふつうの犬ならすぐ直る。 なんて恐ろしい話をするんだ、このオバサンは、といまどきの飼い主さんなら眉をひそめるだろうが、じっさいこれが一昔前の犬の飼い方だったのだ。それでも犬は立派に生きていた。いまほど寿命は長くないにしろ、それでも5〜7年、運が良ければ10年ぐらいは生きられたのだ。 オルガニックフードやら高度医療、そんなことより、犬を飼うのに一番大切なのは、犬に飼われるのではなく、犬を飼ってやることなのだ。何があっても人は咬まない。呼んだらすぐに戻ってくる。飼い主がダメと言ったことはぜったいにやらない。この三つがちゃんとできるような犬に育てるのが、なにより大事なことなのだ。なぜなら、人を咬まない、呼び戻しが効く、飼い主の言いつけを聞くということは、結果的に犬の命を守ることにつながるからだ。 たとえば、薄汚れて犬臭い、ばっちり飼い主の言うことを聞く犬と、トリミングに毎月行っている傍若無人な野獣と、ほんとうに良い犬飼いは果たしてどちらの飼い主だろうか? きれいなおべべを着ておリボンをつけて、すれちがう人や犬ぜんぶに吠えかかる犬と、脚に泥がついたままでも、誰に対しても尻尾を振る笑顔の犬と、果たしてどちらを連れている人が良い犬飼いですか? ご大層なベッドに寝かせて、コシヒカリより高い餌を食べさせていても、愛犬が平気で人の手に牙を立てるような犬の飼い主は、決してちゃんとした犬飼いではないと管理人は思う。犬にやって良いことと悪いことの区別を教えられないということは、その時点で犬を飼えてはいないのだ。どんなに犬に金をかけようが、可愛がっていると言い張ろうが、それは正しい犬の飼い方ではない。少なくとも管理人はそう思う。 たとえば最近流行の小型犬の飼い主さんのなかには、うちのコは小さいから人を咬んでもたいしたことはないと思っている人もいるかもしれない。たしかに、小型犬と大型犬では咬んだときの被害の度合いがかなりちがう。大型犬だと今回のように最悪の事態も起こりえるし、まあチワワに咬まれても人が死ぬことはまずないだろう。だが、被害が少ないから咬んでもいいのかというとそうではない。じっさい小型犬であっても相手が小さな子どもなら、そうとう酷いことになるし、犬に咬まれる被害者の多くは、小さな子どもであることが多い。被害がどうのではなく、犬が人を咬むということが問題なのだ。そして、犬を飼ったことがない人は知らないだろうが、一般的に大型犬より小型犬のほうが人を咬む確率は高い。 大型犬とちがって身体の小さな小型犬にとって、人間というのはとても大きくて恐ろしいものに見える。だから、人に対する恐怖心も大きくなってしまうのだ。かたや、人間のほうも小型犬に対しては小さくて可愛いから大丈夫だろうとわりと平気で手を出す。結果、よっぽど飼い主が注意していないと、犬が人を咬んだという事件が起こりえるのだ。 犬が見知らぬ他人を咬むのは、恐怖心が耐えられる限界を超えたときだ。つまり限界値が低い小さな犬のほうが、人を咬む確率は絶対的に高くなる。だから小型犬の飼い主は、より一層注意して犬が人を咬まないように小さな頃から教えなければいけないのだ。 咬み癖が出やすい犬種というのもある。たとえば、ヨーキーやジャックなどのテリア系の犬は、やはりかなり注意をしない限り、咬み癖がつく確率が高い。その犬種の特性を知った上で買うのならいいが、ただ小さいから楽に飼えるだろうと手を出すと、あとで泣きをみることになる。 以前、友人の息子が、友だちの家で犬に咬まれたという話があった。相手は大型犬のゴールデンだかラブだかで、遊んでいるときに臑に歯があたって、小さな傷がついたのだ。犬飼いの感覚で言えば、咬んだとは言わないような小さな傷だった。じっさい大型犬が咬んだとしたら、何針も縫う傷になるし、飼い主にしてみれば、牙があたった単なる事故で片づける気だったのだろう。だが、謝罪の電話一本もよこさない、その飼い主は非常識だと管理人は思う。犬飼いの感覚では咬んだとは言えない小さな傷であっても、やられた方にしてみれば、やっぱりそれは咬み傷なのだ。相手が同じ犬飼いならば別だが、犬を飼っていない人にとって、どんな場合でも牙が当たって人の身体に傷がついたら、それはぜんぶ咬み傷なのだ。 パピーで家にやってきたとき、どんな犬でも最初はやたらめったら人を咬む。赤ん坊が見るもの聞くもの珍しくて手を出して触ってみるのと同じ感覚で、子犬は何でも口に入れて、噛み心地を試してみるのだ。飼い主が最初にやるべきなのは、咬むという行為が人間に与える影響を教えてやることだ。厚いコートに守られた犬どうしでやるぶんには、傷もつかない咬むという行為が、人間の柔らかい肌に対しては大きな被害を及ぼすということを犬によく教えてやらなければならない。人の手が口に入ったときは、口をぜったいに閉じないと教えることもできるし、逆に人の手が近づいてきたら口を閉じたまま開けてはいけないと教えることもできる。どちらも人を咬まない犬にするには有効な手段だが、ともかくパピーが家に来たその日から、人を咬んではいけないということは、徹底的に教えるべきだ。同時に、子犬ほんらいが持つ、咬みたいという欲求を満たしてやるために、コングのような咬んでもいいおもちゃを与えてやるのも忘れてはいけない。要は犬に咬んでいいものといけないものの区別をちゃんと教えることなのだ。きちんと教えれば犬はちゃんとそれを覚える。やって良いことと悪いことのちがいをちゃんと理解できる動物だからだ。 うちの犬たちはどんなことがあっても人を咬まない、と管理人は自信を持って言えるのだが、「大丈夫、うちの犬は咬みません」といくら言っても、信じてもらえないことがとても多い。それが哀しいなと管理人は思うのだ。いまだ、多くの人が犬はもともと咬むものだからと本気で信じこんでいる。そうじゃないのに。きちんと育てれば、ぜったい人を咬まない犬にすることができるのに。そうじゃない犬が多いのは、きちんとそれを教えない怠慢な飼い主が多いからなのに。 理由は何であれ、犬は決して人に牙を立ててはいけないのだ。ペットとして飼っていく以上、すべての飼い主が、人を咬んではいけないということを、犬に教えなければいけないのだ。人を咬んだら犬はお終いだ。どんな場合でも、犬は人を咬んではならない。犬が人を咬むような状況を、飼い主としては作ってはならない。フィラリアの予防薬より、プレミアフードより、トリミングやきれいなお洋服より、大切なのはそのことだ。 妙なペットブーム花盛りのこの国で、それが一日も早く常識になってくれることを、管理人は願って止まない。 |
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