飼い主にしかわからないビミョーな進歩
2007 / 09 / 21 ( Fri ) 出稼ぎに行くんで死ぬほど忙しい朝、手が滑って姫の餌皿を思いっきり床にぶちまけてしまった。
狭い部屋がよけいに狭くなるのでいったん撤去したクレートなのだが、トレーナーさんのアドバイスに従って、最近また姫さんはクレートのなかで食餌をしている。別に姫さんはクレートが積極的に嫌いなわけではないので、食堂代わりにクレートを使うのは、とくに嫌だとは思っていないらしい。その日も、管理人が餌皿を持ってキッチンから現れると、大喜びで踊りながら、自らクレートのなかに入っていった。 言われるまでもなく、自らクレートに躍り込み、オスワリをして待っている姫の前に、まずは100均で買ったプラントフォルダーを設置する。貧乏飼い主は犬用のお膳代わりにプラントフォルダーを利用しているのである。 で、いつもなら、そのうえに皿を乗せて、ドアを閉めるのだが、なぜか手が滑ってこの瞬間に餌を床にぶちまけてしまったのだ。ここで飼い主がとるべき理想的な行動は、姫にそのままマテをさせて、床からすべての餌を拾い、ふたたび皿に戻して姫に食べさせることである。だが、出社前のクソ忙しいときに、餌を拾って床を掃除している暇などないのは言うまでもないことだ。 姫には拾い食いを止めさせたいとかねがね思っているのだから、床に飛び散った餌を食べさせるのが良いわけはない。にもかかわらず、まっ良いかで済ましてしまうあたりが、いつまで経ってもカリスマ飼い主への階段を上れないフツーのダメ飼い主の哀しさである。 飼い主のほうはあいかわらずなのだが、犬は日々進化している。今回、おっと思ったのは、餌皿をぶちまけた瞬間、姫が「えっ? なになに? これって新しいゲーム? どういうルール?」という顔をして管理人のほうを見たことだ。 我が家に来た当初、姫にとって食餌というのはジャンプして餌皿に体当たりして、飼い主がよろけた隙にこぼれた餌をむさぼり食うというものだった。それがいつしか座って皿が置かれるまで待てるようになった。「召し上がれ」と言われると同時にすでに半分ぐらいは吸い込んでいるので、果たして食前のマテがほんとうにできているのか管理人としてはかねがね疑問に思っていたのだが、今回の件でわかったことは、いちおう姫なりに飼い主の指示に従おうという気持ちぐらいは持つようになったということだ。 何しろ、姫の日常生活を見ていると、食べ終わってから「これ、食べていい?」って訊くような感じなのだから…… むろん、管理人の目を見て「どうしたらいい?」という顔をしたのはほんの0.05秒ぐらいのあいだで、次の瞬間にはダイソンくん並の吸引力でこぼれた餌を一気に吸い込んでいったので、端から見れば姫がためらったなどとは誰も思わないことだろう。だが、管理人が惨状を見て「おや、こりゃまたどうすべきか?」と考えている一瞬、姫も管理人の指示を待っていたのだ。それだけでも、姫にしてみればすごい前進だと管理人は思うのだ。 人間の子どももたぶん一緒なのだと思うのだが、犬の成長って他人から見ても明らかに変化が見えるのには非常に長い時間がかかる。だが、毎日見ていると、微妙な態度の変化や動きのちがいが見えるのだ。前進している距離はおそらく0.3mmにも満たない微妙な距離だが、その小さな一歩に対しても毎回大喜びして次の0.3mm、また前に進もうと思わせられる飼い主でありたいと管理人は思う。だって、亀のような歩みであっても、ずっと歩き続けていれば、いつかはゴールにたどり着くんだもの。ゴールにたどり着いたときに、後をふり返ってみると「わぁ〜ずいぶんたくさん歩いてきたな」って思える日が来るんだもの。 名犬姫とフツーの飼い主の亀速トレーニングは、きょうもビミョーに続いていく。 ![]() お食餌、まだかしら? |
|
| ホーム |
|


