要求吠え強化策
2007 / 05 / 25 ( Fri ) ちっこくて可愛いすみれちゃんは、お散歩でもみんなの人気者だ。管理人と妹に言わせると、いまは亡きアイドル犬ディーを彷彿させるような人なつこい犬なので、散歩の途中で「まあ可愛い」なんて声をかけられようものなら、盛大に尻尾を振って誰彼かまわず愛想を振りまくのだ。 で、「まあ、可愛いわね、おいくつですか?」なんて話から、じつは飼ってくれる人を探しているのだという話をすると、けっこうな確率で里親希望の方が現れる。ただ、どの方も帯に短したすきに長しで、じっさい、でもこう見えて、このコこういうところもあるし、ああいうところもあるし、と詳しくお話しすると、じゃあうちでは無理だわって話になってしまうのだ。 すみれをもらっていただく際に、おそらく一番問題視されるのは、要求吠えの癖だ。別に他の犬に比べてものすごく吠えるというわけではないし、町内に響き渡る声で絶叫する姫と比較すれば、すみれの吠え声なんて囁きにしか聞こえないのだが、すみれのサイズだともしかしてうちでも平気じゃないっと集合住宅にお住まいの方からもけっこうお声がかかるのだが、たいていはけっこう吠えますというとその場で断念されるのだ。 すみれはほんらい吠えるタイプの犬ではない。人間でもお喋りな人とそうでない人がいるように、犬にだってよく吠えるコと、無口なコの二通りある。すみれは、犬種(おそらくコーギーMix)の特徴から見ても、やたらと吠える犬ではないのだが、残念ながら前の飼い主のところで吠えて要求を通すことを教えられてきてしまった。だから、すみれの吠え癖は要求吠えだけで、そう言う意味ではきちんとした飼い主さんと巡り会えれば、まったく吠えない犬にもなるのだが、要求吠えの癖がついてしまっている犬は、飼い主選びをまちがえると吠え癖がどんどんエスカレートしてしまう。 ご機嫌なときのすみれは、まったく吠えない。だから散歩の途中で会う方からは、おとなしくてよいコねぇ〜と絶賛される。うちにすみれを見に来る人のなかでも、すみれの吠え声を聞いたことのない人はたくさんいる。だが、吠えさせようと思えば簡単にギャン吠えさせることもできるのだ。我が家では、要求吠えなどしても意味がないとすでに学習しているので、ほとんど吠えなくなっているが、それでもやはりたまにやる。たとえば、管理人がうちの2頭だけを連れて先に散歩に行ってしまった時。あとは、うちの子たちが美味しそうなおやつをくわえてウロウロしていたり、楽しそうなおもちゃで遊んでいる時、すみれだけケージの中で身動きとれずにいると苛立ってギャンスク喚き始めるのだ。 これがもし定常的に苛立つ状況に置かれていたとしたら? たとえば満足にお散歩にも連れてってもらえず、かまってももらえない状況でケージの中に入れっぱなしで飼われていたとしたら? おそらく、すみれはみごとな吠え犬だっただろう。それこそ、1日中ヒステリックに吠え続けて、まちがいなく近所から苦情がきたはずだ。 だからすみれは誰にでも簡単に飼える犬ではない。ルールを決めて、きちんとそれを守らせることのできる飼い主さんでないと、おそらくすみれはまた問題犬と呼ばれてしまう。いったん要求吠えをすることを覚えてしまったすみれのような犬は、たぶん新しい家に行ってすぐ、この方法がまた使えるかどうか、とりあえず試してみると思うのだ。そこで負けてしまうような環境だと、おそらくすみれを飼い続けることは不可能だ。 で、管理人が出稼ぎに行っていたある日、すみれが夜、下痢をした。カイの腸炎騒動が収まった直後だったので、管理人としては、またかよ、といささかうんざりしていた。だが、留守番の家人にきょうのすみれのようすを訊いて回ったところ、下痢の原因はじつにあっさり判明した。 管理人が出かけてすぐ、すみれが猛烈に吠えていた。そこでバァバはようすを見に犬部屋に入ったのだそうだ。ちなみに犬が要求吠えをしている時は、諦めるまで無視しろと耳からたこ焼きが生えるほど言っているのだが、バァバはやっぱり犬が吠えるとようすを見に行く。で、「静かにしなさい」とかよけいなことを言って(もし見に行くにしても、じっと黙って睨みつけるのが正解)ますます要求吠えを強化する。姫のときもさんざんやった。また今回も、懲りずにやっているのである。 で、今回はそればかりか、吠えたことに対して褒美までやったらしい。バァバに言わせると、 「だって、檻の外で姫ちゃんが食べてるガムが欲しくてしょうがなかったみたいなんだもん。だから欲しい、欲しいって吠えてたのよ。ガムやったらすぐおとなしくなったわよ」 はぁ〜頭が痛い(涙) バァバは、ガムをやっておとなしくなったので、自分は良いことをしたと思い込んでいる。まさか、すみれが次も何かが欲しい時は、ギャン吠えすれば手に入ると学習しているなどとは夢にも思わない。 犬が吠えて騒ぐとおやつをあげておとなしくさせる飼い主がいる。確かにそのときはおとなしくなるのだが、その結果おやつが欲しければ吠えて要求することを教えているとは考えてもみないのだ。 要求吠えは、100%飼い主が犬につけてしまう悪癖だ。生まれつき要求吠えをする犬なんてこの世には存在しないのだ。 管理人はすみれに関して、世間の保護団体に比べるととてもゆるい譲渡条件しかつけていない。ふつうなら断られるパターンの家族構成であってもすみれにとって幸せな生活を送れる家ならば、もらってもらいたいと思っている。それは、すみれに一番あう飼い主さんは、きちんとすみれにルールを守らせることのできる立派なリーダーになれる人だけだからだ。そういう人は、残念ながらこの国ではなかなか見つけるのが難しい。だから、世間一般の常識の範囲で探していたのでは、おそらく一生かかってもすみれにあう飼い主さんと巡り会う事なんて不可能だと思ったのだ。 すみれをこういう家庭に迎えていただきたいというはっきりした理想像は浮かばない。だが、こういう奴にだけはやらんぞ、というぜったいにすみれを飼えない飼い主像は、実体として家の中に一人いる。 |
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