自分に合った訓練方法
2007 / 04 / 15 ( Sun ) ちょっと前の話になるが、選抜高校野球のニュースを見ていたら、おもしろいコメントが聞こえてきた。今回決勝まで勝ち残った静岡の常葉菊川と岐阜の大垣日大のいずれの監督も、昔ながらの怖い鬼監督ではなく、いつもニコニコのじつに優しい監督だったというのだ。つまり学生スポーツの世界でも、いまや陽性強化が花盛りってわけだ。
おもしろいね、この現象。 犬のしつけでも、とくにペットのしつけに関して言えば、最近では陽性強化が完全に主流となっている。おもちゃやおやつなどのベイト(ご褒美)を使って犬が自ら頑張ろう、やったるぜと思う気持ちを奮い立たせるのが陽性強化の本分だ。だから、ノウハウを知らないと最初はとても時間がかかる。単におやつを食い逃げされたり、思うように犬が動いてくれなくてとてもイライラする瞬間がある。だが時間をかけてやると、良い行動の定着率は強制的にやらせるのに比べて格段に良いことがわかってくる。○○してはいけない、と教えるより、やって欲しくない○○ができないように代わりに自ら××させるほうが、いったんその行動が定着すると失敗のしようがないからだ。 ツチノコ兄弟を我が家に迎え入れた8年前、管理人もご多分漏れず躾本などを買いこんでせっせと犬のトレーニングについて学んでいた。そこには「おやつなどを使って褒めて犬をしつけましょう」と書いてあったので、むろん管理人は律儀におやつを片手にオスワリ、マテ、ツケとせっせとお稽古に励んだのである。問題は管理人の買った躾本には、おやつを使ってコマンドにとりあえず従わせる方法は書いてあっても、おやつがないときにもやっぱり飼い主の言うとおり行動させる方法が具体的に書いてなかったという点だ。おかげで、ツチノコ兄弟はおやつのグレードが良いときは名犬ラッシー並の天才犬、おやつがなければただの馬鹿犬という典型的なフツーの犬に成長した。 陽性強化って何だろう? 単に褒めるだけじゃないんじゃないか? そんな根本的なことを真剣に考えはじめたのは姫がうちに来てからだ。姫は、たとえば首にジャークを入れるなどの強制訓練を本気でとことん拒否したからだ。 座らなければ腰を押して(大きい犬だと人が乗ることもある)無理矢理にでも座らせる。首に思いっきりジャークを入れて強引に座らせるなどというのは、一昔前の犬の訓練では当たり前のことだった。だが、姫の場合はこういうやりかたをまったく受けいれなかった。強制すればするほど、意地になってやらない。その強情さは、さすがの管理人も舌を巻くほどのすごさだったのだ。 ちなみに褒めて座らせる方法がわかった今でも、ついつい昔の癖でジャークを入れてしまったりしたら、とたんに姫はムッとしてオスワリ拒否症を発症する。怖い声で命令しようが、怒鳴ろうが、姫は微動だにしないのだ。もしかすると、前の飼い主の元でさんざんこれをやられてうんざりしているのかも知れないが、とにかく強制的にスワレと言われて座るなんてことは、ぜったいにやらないと心に決めているらしいのだ。 その代わり、次の瞬間管理人がにっこり微笑んで「じゃあ、姫ちゃん座ってみようか? はい、Sit」というと満足げにその場にちゃんとオスワリをする。2年半のつきあいで、姫はこういう奴だとわかっていてもその変貌ぶりには毎回管理人も驚かされる。 「そうそう、そういう風にちゃんと頼めばいいわけよ。何だったら、フセもしちゃう?」 姫みたいに筋金入りの強制訓練拒否犬は、まあそんじょそこらにいるわけではないが、管理人は姫と出会ったことで、陽性強化とは何なのか昔よりはほんの少しちゃんと理解できたような気がする。本にこう書いてあったからこの方法でできるはずだと思うのではなく、姫のふだんの行動パターンや嗜好を考慮して、書いてある内容を自分なりに味付けしてうち流の教え方というのを開発できる力がついたような気がするのだ。 陽性強化という訓練法は、正直いって難しい。上っ面だけ真似して、ただおやつをやって褒める一辺倒でやってしまうと単に甘やかされたわがまま犬ができてしまう。かと言って怒鳴って叩いてという訓練法だと一時的に問題行動の矯正はできても、なかなか根本的な解決には至らない。とくに管理人のような見よう見まねの素人にとっては、きちんとできるようになるまでに何年かかるんだろうとつくづく思う。まっ、管理人のような凡人には、ともかく地道に毎日お稽古していくしかないんだがね。 強制訓練と陽性強化、どっちが優れた訓練方法だとは一概には言えないが、管理人と姫に関して言えば、これがやっぱり一番だったと今は思う。そのことに気づくまでじつに長い時間を要してしまったのだがね。 |
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