妙な迷信
2007 / 03 / 17 ( Sat ) 現在、姫さんは年に2回のとびっきりカワユイ時期に入っている。
おかげで我が家は恒例の大騒ぎの日々が連日続いている。先に結論を言うと、管理人は不妊去勢手術肯定派であって、できれば姫にも手術をしたいと前々から思っている。だが、じっさいは姫の健康上の問題で手術はしないで済ませているのだ。心臓疾患があるせいで麻酔のリスクが高すぎておいそれと手術をするわけにはいかないからだ。 先日、出稼ぎの帰りに電車で寝惚けていたところ、そばに立っていた2人組のオバサンの会話が耳に入ってきた。 オバサンA「で、どうするの? やっぱり1回は産ませるつもり?」 オバサンB「そうねぇ〜そのほうがいいのは判ってるんだけど、うちはこれ以上増えちゃっても困るしって思うと決心がつかないの」 オバサンA「ぜんぶ引き取ってくれるお婿さん探せばいいじゃない」 オバサンB「そうなんだけど、なかなかね」 オバサンA「で、やっぱり、あれ? 1度は産ませておこうって思うのは病気が怖いから?」 オバサンB「そう。ほら、1度もお産させないと病気になるじゃない」 なんの病気じゃい!? むろん、このオバサンABが娘の健康を気づかって、産まれた子どもを喜んで引き取って育ててくれる奇特な男性の出現を待っている世にも希なる脳天気なお馬鹿さんたちという可能性も捨てきれないが、一度に複数が生まれることを想定しているところを見ると、おそらく犬か猫かそういったペットの類の話をしているのだろうと管理人は想像した。思わず「オイ、てめぇら、そこに正座せい!」と怒鳴りつけて説教を喰らわせようかとも思ったのだが、オバサンたちはそんな話をしながら次の駅で降りていってしまったので、貴重な布教活動の機会を逃す結果となってしまった。 それにしても、「一度は産ませないと病気になる」って、そのわけの判らない理論はいったいどこから来るのだろうか? ちなみに、人間でも同じ話を聞いたことがある。以前友人が「一度は子どもを産まないと病気になるらしいから、わたしはぜったい結婚して母になる」と言い張っていたのである。彼女はその後、良き伴侶と巡り会い、いまは立派に子育てをしているので、それはそれでいいのだが(ちなみに、自分が母親の病気予防のために生まれてきたことを息子は知らない)、その説がほんとうに正しいのなら、子どもを産まずに生きてきた管理人は近々病気になることになる。 かといって、管理人としては自分が病気になりたくないために育てられない子どもを産む気はないんだが。だって、いらないからって段ボール箱に入れて、河原に捨てるわけにはいかんし。管理人の子どもじゃペットショップでも売れないだろうし。かといってセンターに持ち込んで処分してもらうわけにもいかんしね。だからといって生まれたての子どもを崖から投げ落とすなんてできないし。だから甘んじて病気になるしかないんだが。 で、病気って、いったいなんの病気だよ!? なんとなく子宮蓄膿症の話がまちがって伝わっているのかなという気もする。出産経験のない不妊手術をしていない5歳以上の♀犬に発生率が高いというのは統計的な事実だが、だからといって、1度出産させておけばこの病気にかからないというのはなんの根拠もないデタラメだ。♀犬の場合、子宮蓄膿症や子宮癌といった生殖器系の病気を予防するには、子宮と卵巣を全摘出する不妊手術を受けるのがもっとも有効な手段であって、それ以外にぜったいという予防法などないはずだ。 にもかかわらず、多くの人がなんの根拠もない迷信を信じている。信じているだけなら実害はないが、迷信を元に望まれない子犬や子猫を増やしているのは由々しき事態である。 先日たまたまネット上を徘徊しているときに、不妊手術をしようかしまいか迷っている飼い主さんのサイトにぶち当たった。「しようかとも思うけど、危険だとも聞くし、あまり前向きには考えられない」と書いてあったので、通りすがりで失礼とは思いつつ、いくつか獣医さんをまわってリスクとメリットについて話をよく聞いてから判断されたらいかがですか、とコメント欄に書いてきた。けっきょくその人がどうしたかは知らないが、少なくともきちんとした知識を持った上で、どちらにするかの判断を下してくれたことを祈るばかりだ。 どちらのケースも根本にあるのは同じことだ。「危険だと聞いたから」「病気になるっていわれたから」何がどう危険なのか、病気というのはなんの病気の話なのか、そういう部分が曖昧のまま迷信を信じて妙な行動をとる人はじっさい世の中多いのだ。ちょっと調べれば判ることだし、獣医に聞けば教えてくれる。ほんとうにペットを我が子のように愛しているというのなら、その程度のことは調べてみるぐらいはすりゃいい、と管理人などは思うのだが、じっさい、それすらやらない飼い主が哀しくなるほど多いのだ。 管理人の周りにはレスキュー関係者がとても多い。だから、不妊去勢手術はやって当たり前だという人がほとんどだ。だが、犬猫屋敷としては、手術をするしないは飼い主が自分で判断すべきだというスタンスをあえてとっていくつもりだ。最初に書いたように管理人自身は手術肯定派だし、自分の家のコたちにはできれば手術をする主義だが、だからといって手術をしないことイコール悪だとは思わない。なによりいまは、事情があるとはいえ自分の飼い犬に手術をしていない以上、何が何でも手術をしろとは、やはり管理人としては言えないのだ。 それに、不妊去勢手術をしないがためのリスクをきちんととって責任持って飼うのなら、手術をせずに飼うというオプションもあってもいいとも思っている。要は飼い主が、きちんとした情報を集め、考えて自分の愛犬愛猫にとって何がベストか見極めるべきだと思うのだ。 不妊去勢手術には、正直メリットとデメリットの両方がある。飼い主自身の考え方もあるだろうし、善悪で簡単に片づけられる問題ではないのだ。望まれない命が生まれてきて、それが簡単に処分されていく現実を目の当たりにしているレスキュー関係者にとって、手術をしないというオプションなど考えつかないだろうが、じっさいそういう現実を知らない人たちにそれを判らせるには時間がかかる。だが一方的に「手術をしないのは悪」と決めつけることで、かえって相手を硬化させることだってあるだろう。いまのレスキュー活動は「不妊去勢手術をする」ということが、犬猫をもらう最低限の条件になっているが、皮肉なことに、ほんとうにその必要性を理解してもらわなければならない人たちは、譲渡条件に合わないからと門前払いを食わされてペットショップなどに行ってしまうのだ。そこで「♀犬は1度出産させないと病気になる」なんて妙なことを吹き込まれ、愛犬を病気にしたくないとせっせと子犬や子猫を増やしていく。これって立派な悪循環だと思いませんか? 管理人はこれじゃまずいんじゃないかな、と思っている。 だからあえて、ぜったいに手術をしろとは言わないが、同時に管理人自身が姫を飼っていて経験した手術をしてない犬を飼うリスクと責任も、きちんと理解しておいて欲しいのだ。 (明日につづく) |
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