たかがリード、されどリード
2007 / 03 / 12 ( Mon ) 以前の日記に書いた、唐突に上京してくる友人の職業はパティシエである。ゆえに、彼女と会うときは、ちょっとお茶を飲むだけでも「この店、空いてるから入ろう」というわけにはいかないのだ。なぜなら、一般人にとってはたかがおやつのケーキといえど、彼女にとっては貴重な研究の機会だからだ。なので、2人で一緒のケーキを頼むと怒られる。他人の作品を心ゆくまで眺めてその技を盗む機会をみすみす逃すということは彼女にとっては大きな損失になるからだ。
たしかに、管理人も仕事に関係することだと、以前のように純粋に楽しめなくなっているな、と思うことがある。ある時、ふとプロの目で冷静にそれを見ている自分に気づくのだ。それがいいのか悪いのか、首を傾げたくなるところだが、ともかくふつうの人の目から見ると何でもないことでも、プロの目で見ると色々と新たな発見がある。 ご存じのとおり、犬友の越後屋は手作り首輪の店をやっている。もともと本業は部品を作るエンジニアなので、首輪やリードも奴にとっては工業製品の一環だ。ゆえに商売を始める前に金具類の耐久性を計った実験データを入手し、力学的にそれらの部品が使用に耐えうるかの確認は怠らなかった。管理人が越後屋の首輪は可愛くて安価なだけではなく耐久性も申し分ないと太鼓判を押す理由はここにある。 で、その越後屋がまたもや妙なことを思いついて電話してきた。 「なあなあ、うちのリードせっかく手作りのオーダーメイドなんだからさ、好きなサイズでお作りしますってして、寸法を入れて注文するようにしたらいいと思わない?」 たしかに、使いやすいリードの長さというのは飼い主と犬によってまちまちだ。たとえばうちのカイと姫だけを見ても、体高が5cmほどちがうだけでベストのリードの長さというのはじつは微妙にちがってくる。 「いいアイデアだとは思うけど、ふつうは何センチですか?って問い合わせが殺到してたいへんなことになると思うがね。とりあえず標準は決めておいたほうがいいんでないかえ?」 「そうか、やっぱりそういうことになるかなぁ〜」 ちなみに、越後屋製のリードの標準の長さは150cmと決まっている。とりあえずこのサイズなら大型犬から小型犬までいちおうカバーできる長さである。だが、もちろんオーダーメイドで好きな長さで作ってもらえると知っている管理人などは、毎回自分の好みに合わせてオーダーするのだ。いまや、越後屋のデータベースのなかに、犬猫屋敷仕様という分野ができているのである。 ふつうの人は、リードの長さなどにはこだわらない。たいていは柄を選ぶのがまず優先で、店で売っている市販品の長さ(いまは130cm〜150cmが標準だ)のものを買ってそれに疑問すら持たないだろう。だが、じっさいリードというものはその犬と飼い主の体型、使う目的などによって数種類用意するのがよいと管理人などは思っている。 たとえば、身長180cmの飼い主がチワワやヨーキーなどの超小型犬を連れて歩くのと、150cmの小柄な人がアフガンハウンドを連れて歩くのでは、とうぜん使いやすいリードの長さはちがってくる。また人混みを歩くときはトラフィックリードと呼ばれる短めのリード(80cm〜100cm)が便利だし、逆にツケやコイのトレーニングをする場合はちょっと長めのリード(180cm〜200cm)を利用するのが好ましい。ノーリードにするわけにはいかないが、ある程度犬を自由に遊ばせるときは3m〜5mのロングリードを使うのもいいし(ただしコイのコマンドが入っていることが大前提だ)ともかくリードというのは状況によって使い分けるべきものだと管理人は思うのだ。 近ごろ、犬猫屋敷の周りでもジャック・ラッセル・テリアを飼う人がとても多くなった。よく散歩で会うジャックはたいてい6ヶ月前後の子犬で、なぜか皆いちようにフレキシブル・リードをつけている。最近は量販店のペットショップで「ジャック+フレキシのお買い得セット」が売られているのだろうか、とマジで管理人は思っている。それほどフレキシをつけたジャックの子犬とやたらとすれちがう昨今なのだ。 フレキシの危険性については以前も記事にしたのだが、あいかわらず世間では「あれは便利そうだ」とフレキシを愛用する人が多いようだ。正直、犬と飼い主の状況を見て、「お宅にはまだフレキシは危険ですよ」と言うぐらいの骨のある良心的なペットショップが増えてくれればと思うのだが、じっさいは売れるとなったらどんな客にでも売るのが商売だ。なので買う方のこちらがきちんとした知識を持たないと犬に大きな危険が及ぶ。 フレキシが、使いこなせる人には非常に便利でよい道具であることは管理人にも異論はない。じっさい我が家にもフレキシはあるし、ときには状況に応じて利用しているのも事実である。だが、たとえばうちの場合だと姫にフレキシは使わない。万が一フレキシが手から離れてしまったとき、姫がコイのコマンドに従って100%戻ってくるという保証がまだないからだ。 現代日本はペットブームが花盛りで、人間顔負けの高価な犬グッズがちまたに溢れかえっている。そんなもん犬に必要かい?!と言いたくなるようなものも少なくない。そういうものには金を惜しまない飼い主が、なぜか首輪やリードといった犬が毎日使うものをきちんと吟味して選ばないというのはやはり妙だと管理人は思う。首輪やリードは、やはり軽くて犬に負担がかからず、飼い主も使いやすいものがベストだと思う。管理人のように汚れたら洗えて、色んな柄を楽しみたいという飼い主は、越後屋製のような布製のものを選べばいいし、値段が高くても長く使えるものがいいと思うのなら、軽くて肌に馴染むよい革製のものも売られている。 ほんとうに使いやすい長さのリードを決めるまで、じつは我が家でも数十本のリードを試した。おかげでうちにはスペアのリードが家中に転がっている。 たかがリード、されどリード。リードは犬を飼う人が毎日必ず使う道具だ。それに大事な愛犬の安全を守る大切な道具でもある。だから、たかがリードにだって、ぜひとも、とことんこだわって欲しいのだ。店でリードを買うときは、その長さや持ち手の握りやすさや金具の重量を手にとってちゃんと吟味して選んで欲しいと管理人は思う。いまは驚くほど安い値段でもリードが買える時代だが、安いリードの中にはナスカン(首輪につなぐクリップ部分)の耐久性に問題があるものもある(犬具用として作られているものは汎用のものより耐久性が高い)。 ふつうの人の目から見ると何でもないものが、プロの目で見るとちがって見える。 犬を飼うすべての人が、プロの目で犬具を選んでくれるといいな、と管理人は思っている。 |
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